「開発経験あり」と履歴書に書くのは簡単だが、実際のところ、どの程度のスキルや実績があれば「開発経験者」と言えるのか?IT業界の転職やフリーランス案件でよく見かけるこの言葉の基準は、意外と曖昧だ。
この記事では、企業が求める「開発経験」の具体的な中身から、未経験者との明確な違い、そしてスキルを証明する方法までを解説する。
目次
Toggle1. 「開発経験」の定義―企業はどこまで求めるのか?
「開発経験」の解釈は企業やプロジェクトによって異なるが、経済産業省のIT人材白書によると、多くの場合以下の要素を基準にしている。
レベル | 内容 | 期待されるスキル |
---|---|---|
初級 | 簡単な修正や既存コードの改修が可能 | 基本的なプログラミング言語の理解、Gitでの共同開発経験 |
中級 | 小さな機能の開発やテストを担当できる | 設計書の理解、単体テストの実施経験 |
上級 | プロジェクト全体の設計やリードが可能 | アーキテクチャ設計、チームマネジメント経験 |
例えば、新卒採用では「授業でAndroidアプリを作った」程度でも「開発経験」と認められることがあるが、中途採用では「商用プロダクトのリリース経験」を求めるケースが多い。
2. 未経験者と「開発経験者」の決定的な違い
「個人ブログを作った」と「企業のWebサービスを開発した」では、経験の質が全く異なる。主な違いは以下の3点だ。
2-1. チーム開発の流れを理解しているか
Gitを使ったバージョン管理や、タスク管理ツール(Jira、Backlogなど)での作業経験があるかどうかが重要。一人でコードを書くのと、チームで開発するのとでは必要なスキルが大きく変わる。
2-2. 実務レベルのコード品質を満たせるか
「動けばOK」ではなく、保守性の高いコードを書けるかどうか。コメントの書き方、命名規則、設計パターンの理解などが問われる。
2-3. 開発以外の工程を経験しているか
要件定義、テスト、デプロイ、障害対応など、コーディング以外の工程に関わったことがあるか。特にアジャイル開発の経験があると評価されやすい。
3. 経験が浅い場合のアピール方法
「実務経験は少ないけど、スキルはある」という場合、次の方法で証明しよう。
- GitHubでコードを公開する
個人プロジェクトでも、良いポートフォリオがあれば評価の材料になる。 - 技術ブログを書く
学習内容をアウトプットすることで、理解度を伝えられる。 - 資格を取得する
基本情報技術者試験やAWS認定など、客観的な指標があると有利。
4. 企業が本当に見ている「開発経験」の本質
面接では「何を作ったか」よりも「どのように作ったか」が問われる。次の質問に答えられるように準備しておこう。
- 「最も苦労したバグの解決方法は?」
- 「コードレビューで指摘されたことの中で、学びが大きかったものは?」
- 「過去のプロジェクトで改善したプロセスはあるか?」
5. まとめ―「開発経験」は「成果」ではなく「過程」で測る
「開発経験」の基準は案件によって異なるが、重要なのは「単にコードを書いた」という事実ではなく、「どのような課題をどう解決したか」というプロセスだ。
もし今の自分の経験に自信が持てなくても、学び続ける姿勢とアウトプットする習慣があれば、道は開ける。
「あなたの『開発経験』は、どんなストーリーを語れるか?」
この問いに向き合うことが、キャリアの次のステップへの鍵になる。