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Toggleはじめに:山とテクノロジーの融合
登山は自然と向き合う素晴らしい趣味だが、道に迷うリスクは常につきまとう。市販の登山用GPSデバイスは高価で、スマホアプリでも機能不足を感じることが多かった。そこで私は、自分が欲しいと思う理想の登山用GPSアプリを個人開発することにした。
この記事では、開発の背景から技術的な挑戦、実際の山でのテストまで、個人開発者としての経験をシェアする。もしあなたが登山愛好家で、自分だけのツールを作りたいと思っているなら、ぜひ参考にしてほしい。
1. なぜ登山用GPSアプリを作ろうと思ったのか?
既存アプリの問題点
既存の登山用GPSアプリ(YAMAP や 登山リスク)は便利だが、自分が求める機能がすべて揃っているわけではなかった。例えば:
- オフライン地図の精度:山奥では通信が不安定なため、事前ダウンロード必須だが、UIが煩雑なものが多かった。
- バッテリー消費:GPSを常時使用するとスマホのバッテリーがすぐになくなる。
- ルート記録の柔軟性:既存アプリは記録機能に制限があり、細かいカスタマイズができなかった。
「だったら自分で作ろう」と思い立ち、開発をスタートさせた。
2. 開発に必要な技術スタック
個人開発で重要なのは、最小限のリソースで最大の効果を出すこと。以下の技術を選定した。
技術要素 | 選定理由 |
---|---|
Flutter | クロスプラットフォーム対応(iOS/Android)で開発効率化。UI構築が簡単。 |
Firebase | 認証・データ同期を簡単に実装。個人開発ではサーバー管理の手間を省ける。 |
OpenStreetMap | オープンソースの地図データ。商用利用可能で、オフライン地図にも最適。 |
SQLite | ローカルデータ保存。オフライン時でもルート記録を継続できる。 |
特に、オフライン地図の実装には苦労した。OpenStreetMap のデータを活用し、Mapsforge を使ってカスタムタイルを表示する方式を採用した。
3. 実際の山でテスト!開発者自身が「ユーザー」になる
アプリの完成後、実際に北アルプスの槍ヶ岳でテストを行った。ここで得られた気づきは大きかった。
成功した点
✅ バッテリー最適化:GPSの取得間隔を調整し、8時間連続使用可能に。
✅ オフライン動作:事前に地図をダウンロードしておけば、圏外でも問題なくナビゲーション可能。
✅ 緊急時の位置共有:家族に現在地を自動送信する機能を実装し、安全面を強化。
失敗と改善点
❌ 標高データの誤差:気圧計を使った高度計測にバグがあり、修正が必要だった。
❌ UIの直感性:「直感的でない」と友人に指摘され、アイコン配置を再設計。
このフィードバックをもとにバージョンアップを重ね、現在はGitHubでオープンソースとして公開している。
4. 個人開発で得られた学び
- 「自分が欲しいもの」を作るモチベーション
趣味と開発が結びつくと、挫折しにくい。 - リアルなフィードバックの重要性
実際の山で使って初めて気づく課題がある。 - 技術選定のバランス
完璧を目指すとリリースまで時間がかかる。「まず動くもの」を作るのが大事。
5. もしあなたも作ってみたいなら
「個人でアプリ開発してみたい」という登山者のために、役立つリソースをまとめた。
- Flutter ドキュメント:初心者でもわかりやすいUI開発フレームワーク。
- OpenStreetMap データ活用ガイド:無料で使える地図データ。
- 登山者のためのGPS技術入門(国土地理院):正確な測位の基礎知識。
「何から始めればいいかわからない」という場合は、まず既存アプリの不満点をリストアップしてみよう。そこから自分だけの解決策が見つかるはずだ。
おわりに:山とコード、どちらも挑戦し続ける
個人開発は、「作り手」と「使い手」の両方の視点を持てるのが面白い。このアプリを通じて、より安全で楽しい登山をサポートできればと思っている。
もし興味があれば、GitHubリポジトリをチェックしてみてほしい。一緒に改善していければ嬉しい。
「次はどの山でテストしよう?」 そう考えながら、コードを書く今日この頃である。
この記事が、あなたの個人開発のヒントになれば幸いだ。良い山旅と、良いコーディングを! 🚀🏔️